当基金が発行している「ふれあい」に寄稿された奨学生・保護者等からのお便りの一部をここに紹介します。それぞれの方々が苦しみながらも前向きに頑張っておられる様子が赤裸々に伝えられております。ご一読いただければ幸甚です。
奨学生
『海外留学』 愛知県 高3
いつもご支援ありがとうございます。
事件から4年が経ち、中学を卒業し、高校3年になりました。
僕も進路を決めなければならない時期に入り、ふれあい奨学金の制度で海外留学の場合でも奨学金が出る事を知り、僕は海外留学を決心する事ができました。
とても感謝しています。ありがとうございます。
『役者の道』 神奈川県 大4
ぼくは今、大学4年生です。周りが就職を決める中、一人役者の道を進みます。けれども、最近、一人ではないと思いはじめました。この基金もそうですが、さまざまな人に助けられた、今があると実感してます。その想いを胸に、がんばりたいと思います。
特に今年は、大学生活でずっと携わってきた、シェイクスピアプロジェクトという企画に、最後に参加する年でした。だからかは分かりませんが、後輩と今までより濃密に関わり、作品を深めることができました。後輩だけでなく、スタッフやカンパニーメンバー全員のことを意識して、やりとげたと思います。
今後もこのような気持ちは忘れないだろうと思います。
卒業生
『感謝を込めて』 大阪府 18才
永年のご支援ありがとうございました。
お陰様で、今春に高校を卒業し、望んでいた建設設備会社へ就職することが出来ました。現在は社内研修を受けています。
これからも少年野球時代に学んだ何事にも感謝の気持を忘れず、日々の業務に取り組み一人前の社会人になれるよう精進してまいります。
ありがとうございました。
『今思うこと』 山梨県 33才
いつもお世話になりありがとうございます。
私の父は、私が生まれてすぐに、少年(その当時)の手によって奪われてしまいました。父と過ごした日々は、記憶にはありませんが、父の命が奪われてしまったこと、その事件さえなければ父は生きていて、思い出もたくさんあったであろうことを思うと今でもつらいような寂しいような気持ちになります。
父の命を奪った人が、いまどのように生活しているのか考えてしまうこともあります。もしかしたら、結婚をして子供がいるかもしれません。父を殺したその手で自分の子供を大切に育てているかもしれません。命の大切さを説いているかもしれません。そう思うと、せんのないことですが、辛いような苦しいような気持ちになります。父が死んでしまってから、30年以上たち、私は父より年上になってしまいました。この気持ちに折りあいをつけることは、まだ難しそうです。一生つけることはできないかもしれません。
その中でも、自分達なりの幸せを見つけ毎日を生活しています。支えてくれる人達もいます。突然に理不尽に人の命が奪われることはとても不幸なことです。そのようなことがない、世の中になって欲しいと願っています。
保護者
『夏が来ると』 東京都
いつもお世話になっております。
夏が来ると思いだします。
亡き主人が、夏になると長女を海へ連れて行き、岩場にいるカニを娘に見せてあげたく、一生懸命カニを取っては「ほらっ!大きなカニ!」「このカニはハサミが右と左の大きさが違うだろー」とか亡き主人が笑顔で娘に取っては見せていた頃を・・・。
娘は今、高校1年生になっても、夏が来ると「お父さん大きなカニを取ってくれて指をはさまれて痛い痛いって大きな声で言ってたね」って話します。あの時は娘4才だったのに、今でもその記憶があるのがすごいなと思って聞いています。私もあの時の事ははっきり覚えています。
娘は亡き父親の話しをする時は笑顔で話しをしますが、心の中はさみしくて会いたいと思っているのにその言葉は一つも口に出して言いません。私に気を遣っているのでは・・・。
亡き主人の思い出は、子供が成長するとともに、より深い重いものになっていくことを感じ始めています。
小さい頃は毎日バタバタで、一日が早く感じていたのが、今は高校1年生、小学3年生、それほど手がかからなくなって一人で考える時間が増えて亡き主人のことを思い、思い出してしまう毎日です。
時が経てば・・・、とよく聞きますが、私はその反対で辛くなることが多いです。
でも、子供達の笑顔と元気で、私を立て直してもらっています。
『今年の夏』 静岡県
いつもご支援いただき有難うございます。
今年の夏は猛暑でクーラーがないといられない日々が続いています。
長女は四月から高校生になり吹奏楽部に入ったので、夏休み高校野球の応援でこの暑い中、県内の球場をあちこちまわり、忙しい夏休みでした。新しい環境にもなれお友達も増え、今どきの高校生活を楽しんでいます。
長男は大学生から一人暮らしを始め、夏休みも実家に帰ることはなく、たまに見にいくのですが、掃除や洗たく、自炊と思っていた以上にやれていて、びっくりしています。
主人が亡くなって12年経った今、ここまで子供が成長できたのも色んな方々の支えがあってからこそだと感謝しております。
卒業家庭
『今思う事』 岩手県
基金の皆様、大変お世話になりありがとうございました。
あの時は、どう過ごしていったらいいのかもわからず、ただ途方に暮れていました。自分がわからなくなっていました。お父さんに会えなくなってから30年近くになろうとしています。
現在は、家族5人で平穏に暮らしています。孫も上の子は中学、下は小学六年となり手がかからなくなってきましたので、自分の好きな事をしながら学校の帰りを待っています。
明日を元気で迎えられる…いや今日無事に過ごす事ができるなんて誰もわからない。だから今を一所懸命、そして楽しい事を見つけて日々過ごしていきたいと思っています。
『一生懸命の日々』 兵庫県
基金の皆様、ご無沙汰しております。
長年にわたり、経済的なご支援や心添えいただき、感謝申し上げます。災禍のあったあの日が遠い遠い昔になりましたが記憶の中ではいつまでも昨日の出来事のまま、齢だけ重ねてまいりました。一生懸命生きてきた日々、言葉では表せない数々の思い。
何より、今できることを精一杯頑張って生きることが支援を頂いている皆様への恩返しになると思ってます。親子とも元気でおります。
基金の皆様、御体に気をつけてお過ごし下さい。ありがとうございました。