犯罪にあわれた被害者の遺児たちに幸せを
犯罪被害救援基金
当基金が発行している「ふれあい」に寄稿された奨学生・保護者等からのお便りの一部をここに紹介します。それぞれの方々が苦しみながらも前向きに頑張っておられる様子が赤裸々に伝えられております。ご一読いただければ幸甚です。
奨学生
「学べる喜びと期待で一杯」
大1
中学・高校の6年間通い慣れた学び舎ともお別れし、大学生になりました。
自宅からの通学のため、片道2時間掛かりますが、幸いにも下り方面なので座れる事が多く、有意義に過ごしたいと考えています。
新たな環境の中、沢山の人達と出会える事や興味や関心の有る事を本格的に学べる喜びと期待で一杯ですが、履修登録など単位に関する事等分からない事も多く、不安も有ります。
長期休みには、作品の世界をより具体的に理解するため、作品の舞台となった現地に赴いて、描かれた世界を体感し深く味わいながら読み込む力を培う実踏を行うと、ガイダンスで聞いているので、とても興味深く楽しみです。
卒業生
「 時折事件のことを思い出す」
久々に、実家に帰ってきたタイミングがあって、これを書いています。以前書いたのは、高校生くらいだったと記憶しています。あれからコロナや戦争など、目まぐるしく世界が変化しているのだなと感じています。
私は、恐らくは普通と言われるような会社員とは少し違う、安定とは真逆の道に進みました。母はきっと心配だろうと思います。それでも、背中を押してくれて、支えてくれているからこそ、この時代を何とか生きてこれているのだと思います。感謝しかありません。
人生の岐路にあるとき、時折事件のことを思い出します。その都度、自分が抱く感情は変わっているように思います。本当のことは何も分かりませんが、この複雑な社会の中で、どのような人であったとしても少なくとも私にとっては大切な記憶であるという気持ちだけは、見失わず、生きて行こうと思います。
保護者
「何ほど枕を涙で濡らしたことか」
近くの公園の桜も今が1番の見頃と言わんばかりに花びらが咲き誇っております。
高校2年生になった孫娘は、朝はヘアーセットに時間を掛け、時間がなくなり、ご飯を食べずに学校に行くときが多くなっております。夕方学校から帰ってくると必ず仏壇に向かい母の遺影に向かい何を話しかけているのか、しばらくの間お参りしております。
そんな孫娘が、平日の朝、目にいっぱい涙を溜め、「目が腫れてこんな顔では学校へは行けない今日は休む」と言いながら起きてきました、突然のことで、どうしたのと聞くと「ママの夢を見た、ママは私を置いて走って遠くへいってしまった、ママー待って〜といったのにどんどん遠くにいってしまった」と、かわいそうに何ほど枕を涙で濡らしたことか。写真しか見たことがないうろ覚えの母親の顔を涙でぼやけた目で見送ったのか、幾つになっても母親に会いたいのだろう本当に不憫な孫娘でついもらい泣きしました。
又いつだったか学校のことをいろいろ話をしている中で法律の勉強でもしたのか、なんで殺人犯は死刑にならないの、死刑制度反対なんて言う人なんて、被害者になってみないとわからないんだよねと私に話しかけて来ました。話の内容、会話も、だんだん大人びてきました。
高校卒業まであと数年、楽しみにしております。それではいつもご支援感謝いたしております。有り難うございました。
本当にありがとうございます。
卒業家庭
「感謝を噛み締めながら」
こんにちは。
2人の息子達も家から巣立ち、私の独り暮らしもすっかり日常になりました。先日自宅で昔の映画を観て「あぁ、昔4人で観たなぁ」と懐かしく思っていたのです。しかしその直後その映画が公開されたのが息子達の父が亡くなった後であると判明。私の記憶違いだったかととってもがっかりし淋しくなったのでした。
その後久しぶりに会った2人の息子達と3人で満開となった桜を近所に観に行きました。彼らが産まれた時から欠かさず行ってるお花見です。(近年ではもっぱら私独りでのお花見ですが。)今となっては非日常となった貴重な親子3人でのお花見。感謝を噛み締めながら過ごしました。帰りに寄ったお店での会話に亡き息子達の父の事が沢山出て来ました。私の忘れていた事、知らなかった父と息子達の交流などなど。その時思ったのです。亡き息子達の父親はこんなに沢山の思い出を息子達に残してくれていたんだなぁと。彼らの人生からしたら短い期間だったかも知れないけれど、父が息子達をとても愛していたからこその息子達の会話なんだと。
先日の映画鑑賞での私の淋しさなど一気に吹き飛んでしまいました。そして息子達の父には感謝しかありません。
もちろん私と息子達を助けてくださった公益法人犯罪被害救援基金の皆様にも感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。